《グルーヴとリズムの小話集》第2話:「焦りというシンコペーション」

焦りとは、未来の私が、今を叩く音


焦りは、リズムの乱れじゃない。

ただのシンコペーション——拍の前に出すぎた一音。

かつての私は、それを“ミス”だと思っていた。

テンポを乱す不協和音のようで、聴くたびに体が固まった。

でも今は少し違う。

焦りが鳴るとき、そこには次の拍を先取りする感性があると。

焦りは未来を感じる耳の反応。

まだ形になっていないことを、

身体が「もう始まってる」と知らせているだけ。

だから最近は、焦りが来ても止めない。

深呼吸して、その音を聴く。

「いま速くなってるな」とわかれば、

テンポを戻すだけで、また流れに戻れる。

焦りを消そうとするのではなく、

焦りの拍を“曲の一部”として取り込む。

その瞬間、

リズムは不安から音楽に変わる。

人生の演奏に、完璧なテンポは存在しない。

シンコペーションがあるからこそ、

曲にグルーヴが生まれる。

Art sound journal

線と色をめぐる創作と対話のアーカイブ。 線画、絵本、言葉、そして日々の問いを通して、 「見る」と「描く」をもう一度ひらいていくブログです。