静物画が退屈だと思っていた私が、その絵を見て止まった理由

3月は仕事が忙しくて、少しお疲れ気味でした。

そんな時に、たまたまジョルジョ・モランディの絵に出会いました。モランディは、瓶や壺や缶みたいな日用品ばかりを、ほとんど同じ場所で、何度も描き続けた画家です。

それまで静物画は正直、退屈だと思っていました。派手さもない、ドラマチックなストーリーもない、強いテーマ性も感じられない。なんとなくスルーしていた種類の絵でした。

でもその時は違いました。

絵を前にした瞬間、すっと癒されたんです。

ジョルジョ・モランディ(1890-1964)はイタリアの画家です。瓶や壺、缶といった日用品をひたすら描き続けました。派手な色もドラマチックな構図もない。ただ静かに、物がそこにある。生涯のほとんどをボローニャの小さなアトリエで過ごし、同じモチーフを何度も何度も描いた人です。

お寺で仏像を見た時のような、あの何とも言えない落ち着き。頭の中が静かに空っぽになっていく感じ。

モランディの絵は、色も同系統でまとめられていて、はっきりした主張がない。余計な情報が削ぎ落とされている。それがあの静けさを生んでいるんだと、じっくり見ているうちに気がつきました。

そして同時に、自分の固定観念にも気づきました。

絵を描く側として、いつもテーマや伝えたいこと、主張を盛り込まなければいけないと思っていた。でもモランディの絵はそうじゃない。ただそこに存在を置くだけで、見た人がそれぞれ何かを受け取る。

それでいいんだ、と思いました。勝手に背負っていた肩の荷が降りたのでした。


Art sound journal

線と色をめぐる創作と対話のアーカイブ。 線画、絵本、言葉、そして日々の問いを通して、 「見る」と「描く」をもう一度ひらいていくブログです。