ことばの根っこにふれる旅 ―語源からひもとく英単語の世界―

英単語を覚えるとき、「絵やシーンを思い浮かべると覚えやすい」とよく言われます。

でも最近、私はちょっと違うアプローチがしっくりきました。

それは、語源から覚えること。

単語そのもののイメージを思い浮かべるよりも、

その言葉が「どこから来て、どう組み合わされてできているか」を知ったほうが、

ずっと記憶に残りやすいことに気づいたんです。

たとえば、"express" という言葉も、そんなふうに後からじわっと意味が深まった単語のひとつでした。

ex-(外へ)+ press(押す)= 外に押し出す

「表現する」と訳されるこの言葉は、本来「内にあるものを外に押し出す」というエネルギーを含んでいます。

言葉にすること、描くこと、動くこと。

わたしたちが“表現する”というとき、

それは意志ではなく、あふれてしまうような衝動なのかもしれません。

express は「言いたい」ではなく「出てしまう」——

そんな感覚すら思い出させてくれる言葉です。

語源を知ると、仲間同士のつながりも見えてきます。

たとえば、**“ex”(外へ)**という語源を持つ単語には、こんなものもあります。

exhibit:外に出して見せる → 展示する

exude:内側からにじみ出る → 雰囲気や魅力を放つ

expand:広げる → 表現の可能性が外へ広がっていく

extract:引き出す → 思いやイメージを作品に引き出す

どれも「表現」や「創作」の行為とつながっているように感じます。

言葉も、作品も、外に出すことで世界とつながっていく。

語源を知ることで、そんな静かな共通点にも気づけるようになりました。

英単語を暗記しようとすると、時に距離を感じることもあります。

でも、語源という“ことばの根っこ”にふれてみると、

その言葉がまるで昔から知っていたような顔で、こちらを見返してくる瞬間があります。

意味を「覚える」のではなく、

成り立ちを「知る」。

それだけで、英語との関係が少しやさしくなりました。